解決事例(破産申立)

以下の解決事例は、いずれも当事務所で扱った事案をもとにしております。

ただしプライバシー保護の観点から若干の変更を加えています。借金問題は色々な要素があり、色々な解決方法があります。その方ごとに一番良い方法は何かを検討する必要があります。以下では 任意整理(過払金)個人再生破産自営業者・法人 の事案の順でご紹介します。

事例1 破産・法テラス利用

相談者Iさん:55歳 女性 単身 生活保護受給 単身。2社から120万円ほどの借金がありました。

相談に来られたとき、Iさんの記憶では10年以上前から借入を始め、借金は2社から合計約120万円あるということでしたので、任意整理で受任し、業者から取引履歴を取り寄せました。その結果、借金は2社合計約40万円(引き直し後)でした。当初Iさんは、任意整理により何とか借金の返済をしようと考えましたが、生活保護を受けているIさんには40万円といえども返済は困難でした。そこでIさんは、法テラスを利用し破産申立をしました。

【解説】
明らかに返済が可能である場合には破産を選択することはできません。従って、仕事をしているサラリーマンが100万円以下の借金で破産をすることは原則としてできません。
しかし、生活保護を受給している方の場合には、40万円の借金でも破産申立をすることができます。法テラスの費用については、生活保護を受けられている方は原則として免除されます。
 

事例2 破産申立

相談者Jさん:39歳・男性・無職、妻と2人暮らし。住宅ローン(約2700万円)のほかに600万円の借金があります。

Jさんは、妻との共働きで収入が多かった6年前に郊外に自宅を購入しました。しかし、その後に勤務先の業績悪化のためJさんは職を失い現在は無職で仕事を探している状況です。Jさんはたとえ仕事を見つけることができても元の職場ほどの給料は見込めず、毎月12万円もの住宅ローンを払い続けることが困難な状況でした。Jさんの妻は正社員ですが、いつまでも仕事を続けていては将来設計に影響が出てきます。そこで、Jさんは破産手続により全ての借金をなくしてやり直すこととなりました。

【解説】
個人再生では、住宅ローン以外の借金を5分の1に圧縮し(但し100万円以上、清算価値以上)、住宅ローンを支払い続けることが可能です。銀行との交渉によっては一般債権の返済期間(3年間)中は毎月12万円の住宅ローンを5万円ほどに減額してもらうことも可能です。
しかし、個人再生の場合には申立準備中も住宅ローンだけは支払い続ける必要があるところ、就職活動中のJさんにはその支払が困難でした。もともと妻との共働きで住宅ローンの返済を続けている中でその支払いが苦しくなって消費者金融からの借入れが増えた経緯もありました。この場合にまで無理をして個人再生を選択する必要はありません。
 

事例3 破産申立

相談者Kさん:45歳・女性・会社員・手取り30万円・3人家族。借金は8社から合計450万円借りています。

Kさんは夫と離婚したことをきっかけに生活費のために借り入れをはじめ、しだいに借金が増えていき、相談に来られたときには8社から450万円ほど借りていました。Kさんはどの会社からいくら借りているのか、どの会社との取引が何年くらいなのかをほとんど把握していない状況でした。
そこで業者に受任通知を発送し、取引履歴を取り寄せて引直し計算したところ、借金は450万円ほどとなりました。過払金はありませんでした。Kさんの上の子供が働いていて手取りが16万円ほどあったことなどから、Kさんは個人再生によりこの450万円の借金を100万円に圧縮すればなんとか返済が可能な状況でした。
 しかし、再生手続を選択するとKさんはこれからも働きながら借金を返していくことになりますが、離婚後に2人の子供を育ててきたKさんにはその気力は残っていませんでした。また、下の子の進学にも影響します。Kさんは破産申立をして借金なくす方法を選択しました。

【解説】
個人再生により借金を減額してなんとか返済することが可能であっても、ぎりぎりの状態で無理をして借金を返す義務まではありません。特に小さなお子さんが居られる家庭においては、無理な返済を続けるよりも子供の養育費や教育費にその費用を回すべきであると思います。
 

事例4 破産申立、法テラス利用

相談者Lさん:39歳・男性・派遣社員・手取り12万円、単身。借金は6社から合計450万円を借りています。

Lさんは、生活費のために借り入れを始め、派遣会社の給料が急に下がったことから、さらに借り入れを増やしていき、相談に来られたときには6社から450万円ほど借りていました。うち1社からは給与の差押をされていました。さらに高額な税金の滞納もありました。Lさんは単身であり、借金返済について両親や兄弟からは協力してもらえません。Lさんは破産手続により借金をゼロにしました。

【解説】
この事案では個人再生により、返済額を100万円に圧縮することが可能でした。Lさんは会社の寮で生活しているので、手取りが12万円でも月3万円ほどの返済はできないわけではありませんでした。しかし、個人再生により借金を100万円に圧縮することを選択すると、今後3年間は派遣社員という不安定な立場で余裕のないギリギリの生活をしなくてはなりません。
Lさんは、法テラスを利用し、破産申立をして借金から開放されました。弁護士費用がご心配の方は、法テラスから費用の援助を受けて破産申立をすることもできます。
 

事例5 破産申立

相談者Mさん:48歳・女性・パート・手取り8万円・4人家族。借金は4社から合計240万円を借りています。

Mさんは、夫名義の住宅ローンの支払いや子供の学費などを、夫の収入でやりくりをすることができず借り入れを始めたところ、借金がしだいに増えていき、相談に来られたときには4社から240万円ほど借りていました。
Mさんは、毎月の返済額を少なくしたいと考えていましたが、夫に内緒で借金をしていること、今後も住宅ローンの支払いが続き、子供の成長とともに学費などの支払いが増えることを考え、Mさんの希望により夫には内緒で破産申立をしました。

【解説】
本来ならば夫と相談して借金問題に取り組むことが望ましいのですが、それにより夫婦関係に亀裂が生じる可能性もあります。当事務所ではご依頼者様の意向を最大限尊重して、手続を進めています。
 

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