解決事例(自営業者・法人)

以下の解決事例は、いずれも当事務所で扱った事案をもとにしております。

ただしプライバシー保護の観点から若干の変更を加えています。借金問題は色々な要素があり、色々な解決方法があります。その方ごとに一番良い方法は何かを検討する必要があります。以下では 任意整理(過払金)個人再生破産自営業者・法人 の事案の順でご紹介します。

事例1 個人再生、自営業者

相談者Nさん:60歳・男性・自営業者・2人家族。借金は8社から3700万円と住宅ローン3500万円です。

Nさんは、製造業の自営業で事業の運転資金のためにかなり古い時期から信用保証協会や政策金融公庫などから借り入れをしていたほか、クレジット会社からの借入れもあって合計3700万円ほどの借金(一般債権)がありました。そのほかに住宅ローンも3500万円ほどありました。

Nさんは高齢でしたが自営業を続けたいとの意向が強く、事業の収支も粗利は出ており、一般債権の支払いの負担が軽減されれば借金の支払が可能な状況でした。そこで、個人再生により3700万円の一般債権を10分の1に圧縮し、住宅ローンはそのまま支払う内容の個人再生を選択し、その認可を得ました。

【解説】
自営業者の場合には、過去数年の決算書のほか、直近の事業収支実績表などの資料を裁判所に提出して、借金返済の負担が軽減されれば事業を続けられる状況であることを証明する必要があります。事業を続けることで借金が増え続ける場合には再生計画は認可されません。
一般債権者への借金が3000万円を超えるときには、その金額を10分の1に圧縮できるのですが、反対する債権者が多いときには認可されない可能性があります。この事案はそのほかにも細かな点で色々と苦心した記憶があります。
 

事例2 個人再生、自営業者

相談者Oさん:49歳・男性・サービス業・4人家族。借金は9社から1700万円と住宅ローン2000万円です。

Oさんは、サービス業の自営業で運転資金のために銀行等からの借入れがあったほか、クレジット会社や消費者金融からの借入れもあって、合計1700万円の借金(一般債権)がありました。そのほかに自宅件店舗の住宅ローンも2000万円ほどありました。
個人再生で一般債権を300万円に減らしても、Oさんの店の売上ではその返済と並行して住宅ローン(月12万円)の支払いを続けることは困難でした。そこで、個人再生による支払期間(3年間)だけは住宅ローンを5万円ほどに減らしてもらうように交渉し、金融機関から内諾が出たことにより再生申立をすることとなり、裁判所の認可を得ることができました。

【解説】
一般債権が1500万円から3000万円の間の金額のときは300万円に減額することが可能です。但し、債権者の多数が反対するとこの減額はできません。この減額後の一般債権の返済と並行して住宅ローンを支払うことが困難な場合には、その期間だけ住宅ローンを減額してもらう内容の再生計画とすることができます。
 

事例3 破産、法人(株式会社)

相談者Pさん:76歳・男性・会社役員。法人の借金は20社から9500万円、個人の借金は8500万円です。

Pさんは製造業の法人(株式会社)を経営し、会社の運転資金のため保証人となって自宅を担保に銀行等からの借入れをしていたほか、信用保証協会からの借金のほか買掛金の借金もありました。近年は売上が減少して借金が増え続けていたため、破産以外の選択肢はなく、法人・個人ともに破産申立をすることとなりました。

【解説】
法人の破産申立の事案では、破産申立の方針が決まった以降は買掛金を作ってはならないため取引を中止する必要があります。営業の停止により取引先が営業所に押しかけるなどの事態が予想されるときはその対応も検討する必要があります。

この事案では工場が借地上にあり、地代の滞納が続いていたため、これ以上借金を増やさないようにするため、破産申立の準備期間に明け渡しをしました。法人の破産申立の事案では現地に何回も赴き、現状を確認する必要があります。

また、破産申立の直前に問題のある取引や財産隠しが行なわれないように厳しくチェックする必要があります。法人の破産申立の事案では必ず管財人が選任され、管財人により問題のある取引や財産隠しがないかなどのチェックがなされます。
 

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