解決事例(個人再生)

以下の解決事例は、いずれも当事務所で扱った事案をもとにしております。

ただしプライバシー保護の観点から若干の変更を加えています。借金問題は色々な要素があり、色々な解決方法があります。その方ごとに一番良い方法は何かを検討する必要があります。以下では 任意整理(過払金)個人再生破産自営業者・法人 の事案の順でご紹介します。

事例1 個人再生

相談者Dさん:40歳 男性 会社員 手取り35万円 4人家族/借金は4社から合計450万円借りています。

Dさんの記憶では借金は6年ほど前からのものでした。業者に受任通知を送り、取引履歴を取り寄せて引直し計算をしたところ借金はほとんど減りませんでした。Dさんの収入では分割払いにしても450万円を返済することはできません。個人再生手続により借金を返済することとなりました。この事案では450万円の借金を100万円に減額して3年間の分割払い(毎月2万9000円ほど)で返済することとなりました。

【解説】
この事案では破産手続により借金をなくすことも可能でした。個人再生で借金を減額すればなんとか支払うことができる方であっても、破産手続を選択することは可能です。
しかし、Dさんは破産だけは避けたいという思いが強かったため、個人再生により借金を100万円に減額して支払うことになりました。
 

事例2 個人再生

相談者Eさん:30歳 女性 4人家族 手取り15万円/借金は6社から合計200万円ほどを借りていました。

Eさんは、母親と2人の弟と4人暮らしです。Eさんは学校を卒業したのち1人暮らしをしていた時期に生活費のために借金を始めました。その後5年ほどの間に借金は6社から200万円ほどに膨れ上がっていきました。Eさんは、実家にもどって生活費を節約して借金を返そうとしましたが、借金が大きくなりすぎたため返済ができなくなり弁護士に相談しました。

Eさんの借金は利息制限法により引直し計算してもほとんど減りませんでした。Eさんの手取りは15万円ほどです。しかし、母親と2人の弟も働いていてEさんには返済のゆとりがあったことと、破産は避けたいとのEさんの希望があったことから、破産をせずに個人再生により借金を100万円に減額して支払うこととなりました。

【解説】
この事案も破産手続を選択することが可能でした。Eさんは破産を避けたいとの気持ちから、個人再生を選択しました。
 

事例3 任意整理から個人再生に変更

相談者Fさん:40歳 男性 会社員 手取り17万円 2人家族/借金は6社から合計250万円を借りています。

Fさんは妻と2人暮らしで、妻の入院費などにより貯蓄がなくなり、借入れを始めました。妻とは共働きでしたが、Fさんは職を転々としていたため、生活は安定せず、借金は増えていきました。返済を続けるのが困難となり弁護士に相談したときには6社から250万円を借りていました。業者から取引履歴を取り寄せて引直し計算したところ、借金は150万円ほどに減りました(この事案は平成20年より前のものです)。そこでFさんは任意整理により利息を止めれば支払いができると考えて、6社と示談をしました。

その後、Fさんは勤め先を辞めてしまい、収入がなくなったことから、業者への支払ができなくなりました。Fさんは破産だけは避けたいとの気持ちが強かったため、各社に連絡をしてFさんが就職するまで支払いを待ってもらいました。その後にFさんは就職して仕事が続く見込みが立ったことから、個人再生により借金を100万円に減らして月2万8000円を返済して、完済しました。

【解説】
この事案では減額後の借金が150万円と判明した時点で破産手続を選択することが可能でした。しかし、Fさんとしては150万円で破産することは避けたいとの気持ちが強く、任意整理となりました。Fさんが勤め先を辞めたのちは再就職までの期間の利息が加算されたこともあり、個人再生で100万円に減らして支払うこととなりました。
 

事例4 個人再生、住宅ローン

相談者Gさん:45歳 男性 会社員 手取り40万円 4人家族/引直し後も1700万円の借金がありました。

Gさんは、前の妻と生活していたときに購入したマンションの住宅ローンや再婚後の生活費のために借り入れをするようになりました。マンションは賃貸に回しましたがその家賃だけでは住宅ローンの支払いには足りず、とくにボーナス払いのたびに借金が増えていき、500万円弱に膨らんでいました。
そのようなときGさんは、とある銀行から借金をまとめると利率が安くなると言われて500万円を借りて、いったんは住宅ローン以外を一括で返済しました。しかし、500万円分の借金の利率は低くなったものの借金の支払いを続けることは大変であったため、いったん完済した業者からも借入れるようになり、住宅ローン以外の借金は850万円ほどに膨らんでいました。
そこで当職が受任して、各社の取引を引き直し計算したところ、住宅ローン(約1000万円)のほかに700万円もの借金が残っていました。
Gさんはローンを払っているマンションには住んでいないことから、住宅ローンの支払いを続けるタイプの個人再生をすることはできません。 しかし、Gさんは破産だけはどうしても避けたい事情もあったことから、住宅ローンを含めた1700万円の借金での個人再生申立をしました。 住宅を約600万円と評価して残りの1100万円を5分の1の220万円に圧縮して、毎月6万円を3年間支払う内容の弁済計画で再生計画の認可を得ることができました。

【解説】
このように借金の総額が大きな場合であっても、個人再生により借金を減額した上で支払うことができます。また、住宅ローンがある場合には、住宅ローン条項つきの個人再生が利用できる場合もありますが、ご自身で居住していない場合にはこの手続は利用できません。
 

事例5 個人再生、住宅ローン

相談者Hさん:47歳 男性 会社員 手取り25万円 5人家族/住宅ローン以外に14社から900万円の借金がありました。

Hさんは15年程前から生活費のために借入を始め、相談に来られたときには14社から合計約900万円の借入があり、ほかに住宅ローンもありました。Hさんの場合、履歴を取り寄せて引直し計算しても約650万円の借金が残りました。この650万円を分割で返済することはできません。しかし、Hさんは個人再生手続では5分の1の約130万円に圧縮することができる状況にありました。Hさんの家族にも収入があったことから、なんとか個人再生の認可を得ることができ、住宅ローン以外の借金を減額して支払うこととなりました。

【解説】
個人再生では借金を減額して支払うことが原則ですが、自宅に担保が付いている住宅ローンは特別扱いされ、減額せずに支払うこととなっています。この支払ができる場合には住宅を手放さなくて済みます。住宅ローンの支払いについては、ボーナス払いを取り止めてその分を各月の返済の増額にする方法や、個人再生による一般債権の返済期間(原則3年間)だけは減額して支払う方法などがあります。
 

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